反実仮想の助動詞「まし」の意味や活用【古文】

「まし」 国語

今回は反実仮想の助動詞「まし」を見ていきたいと思います。

他の助動詞についてはこちらの記事でまとめてあります。

Homura
Homura

この講座の難易度は★★☆☆☆です。

「まし」

「まし」の活用形

「まし」の活用表

「まし」は未然形接続の助動詞です。

「まし」の用法

「まし」の意味は以下の3つです。

  1. 反実仮想
  2. 意志
  3. 推量

反実仮想

もし~であったらとしたら…だろうに~なら良かったのに」と訳します。

反実仮想は、例えば「もし私に翼があったなら、大空を飛び回れただろうに」というように、事することを像するという意味です。

例:世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし(伊勢物語)
訳:もし世の中に全く桜がなかったとしたら
春の人々の心はおだやかなものであっただろうに

反実仮想の用法の場合、多くは例文のように「~ば…まし」の形で反実の条件が示されることが多いのので、判別の目安にしましょう。

「ば」は順接仮定条件(もし~であったらならば)を表す接続助詞です。

よくあるのは以下の形です。

  • 未然形+ば…まし
  • せば…まし
    →「せ」は過去の助動詞「き」の未然形
  • ませば…まし
    →「ませ」は「まし」の未然形
  • ましかば…まし
    →「ましか」は「まし」の未然形

意志

~しようかしら」と訳し、ためらいの気持ちが混ざった意志を表します。

例:走りやいでなまし(大和物語)
訳:走り出ようかしら

推量

~だろう」と訳します。

例:おとなしく聞こえなまし(徒然草)
訳:穏やかに聞こえただろう

「まし」のまとめ

それでは、「まし」について簡単にまとめていきましょう。

「まし」は未然形接続の助動詞で、意味は以下の3つ

意味訳し方判断基準
反実仮想①もし~であったとしたら
…だろうに
②~なら良かったのに
未然形+ば…まし
せば…まし
ませば…まし
ましかば…まし
意志~しようかしら
推量~だろう

まとめ

今回は反実仮想の助動詞「まし」についてまとめてきました。

反実仮想という他の助動詞にはない用法があるので、単独で扱いましたが内容自体はそれほど難しくなかったと思います。

先述した4つの形を覚えておけば基本的には大丈夫だと思います。

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