英文解釈を始めて最初の方につまずきがちなものの一つに「that」の省略があります。
そこで、今回は、この省略された「that」が接続詞なのか、関係代名詞なのかを見分けられるようになることを目標に学習していきましょう!
ちなみに、英文解釈をやったことがないという人は、この講座を読み進める前にこちらの記事を読んでおくと理解しやすくなると思います。
この講座の難易度は★★★☆☆です。
例文
まずは、以下の例文を英文解釈・和訳してみましょう!
可能なら答え合わせができるように紙かノートに書くことをオススメします。
I think it’s dangerous to trust
the person you met in town
yesterday *without a doubt.
*without a doubt…疑いもせずに
例文の解釈と和訳ができたら以下の解説を読み進めましょう!
解説
例文のポイント
この例文のポイントはズバリ2つの省略されている「that」です。
省略されているのは、接続詞の「that」と関係代名詞の「that」ですが、皆さんは気付くことができましたか?
この2つの「that」の省略は英文を読む上で非常によく出てくるので、絶対にマスターしておかなければいけません。
まずは、この2つの「that」の働きをそれぞれおさらいしておきましょう。
接続詞のthat
接続詞の「that」は、主に名詞節(名詞のカタマリ)をつくり、thinkやhopeなどの動詞の目的語として使われることが多いです。
※名詞の働きは文中でS・O・Cになることでしたね。
例:I think that he is kind.
I hope that you win this game.
この接続詞の「that」は以下の例文のように頻繁に省略されます。
例:I think he is kind.
I hope you win this game.
関係代名詞のthat
「that」に限らず、関係代名詞は名詞を修飾(詳しく説明)するもので、働きとしては形容詞と同じです。
そのため、関係代名詞の「that」のカタマリも形容詞節(形容詞のカタマリ)として考えましょう。
そして、関係代名詞には主格と目的格の2種類があります。
主格の関係代名詞
まずは、次の文を見てみてください。
例:I know the girl.
She is my classmate.
この文の内容を話す時に「私はその少女を知っている。彼女は私のクラスメートです。」と分けて言うよりも「私はクラスメートのその少女を知っている。」と一文で言った方が楽ですよね。
そこで、使うのが関係代名詞です。
この文において「the girl」と「She」が同一人物を指していることは分かると思います。
そこで、先に出てきた「the girl」を先行詞にして、「She」を関係代名詞に変換して2つの文を1つの文にします。
例:I know the girl [who is my classmate].
関係代名詞「who」がつくる[]のカタマリが「the girl」がどんな少女なのかを説明しています。
この時、関係代名詞「who」が[]の中で主語の働きをしていますね。
これが主格の関係代名詞です。
先行詞が人の場合には、例文のように「who」を使い、物の場合には「which」を使います。
そして「that」は人・物どちらでも使える関係代名詞です。
目的格の関係代名詞
それでは、次に以下の文を見てみてください。
例:I know the girl.
I met her yesterday.
この2つの文を再び関係代名詞を使って1つの文にしていきましょう。
先に出てきた「the girl」を先行詞にして、「her」を関係代名詞に変換して2つの文を1つの文にします。
例:I know the girl [that I met yesterday].
関係代名詞「that」がつくる[]のカタマリが「the girl」がどんな少女なのかを説明しています。
この時、関係代名詞「that」が[]の中で「met」という動詞の目的語の働きをしています。
これが目的格の関係代名詞です。
そして、目的格の関係代名詞は以下の例文のように、頻繁に省略されます。
例:I know the girl I met yesterday.
この省略は目的格の場合にだけ起こり、主格の関係代名詞では起こらないので注意してください。
省略されたthatの見分け方
接続詞の「that」と関係代名詞の「that」の働き、そしてこの2つが頻繁に省略されるということがここまでの解説で分かったと思います。
しかし、ここで問題が出てきています。
それが省略されているのがどっちの「that」なのか見分けなければいけないということです!
この2つの「that」は以下のように見分けていきましょう。
関係代名詞の「that」は名詞を説明するものなので、直前には名詞が来ますが、接続詞の「that」は目的語になることが多いので、直前には動詞が来ます。
100%確実な見分け方というわけではありませんが、最初のうちはこうして見分けていくのがやりやすいのではないかと思います。
また、接続詞の「that」がつくる文のカタマリは主語や目的語の欠けていない完全な文ですが、関係代名詞の「that」がつくる文のカタマリは主語や目的語が欠けた不完全な文です。
そのため、文が完全か不完全かがより確実な見分け方です。
例文の解説
それでは、ここまで学習してきた内容を踏まえて、最初に挙げた例文の解説をしていきましょう。
I think it’s dangerous to trust
the person you met in town
yesterday *without a doubt.
1つの文の中には接続詞や関係代名詞などがない限り、主語と動詞のペアは1つしか出てきません。
例文を読み進めると、「I think」というSVのペアが出てきた後に「It’s(It is)」というSVのペアがまた出てきていますね。
この時点で、接続詞か関係代名詞などが省略されていることが分かり、英文に読み慣れていれば接続詞の「that」の省略と分かります。
仮に分からなくても今回は直前が「think」という動詞であることと「It’s dangerous」と完全な文が続いているので、接続詞の「that」が省略されていることが分かります。
その後の文、「It’s dangerous to trust ~」は以前に記事でやった「It to構文」です。
「It to」構文がよく分からないという方はこちらの記事も読んで勉強してみましょう。
そしてその後、「the person you met in town yesterday without a doubt」でまた「you met」というSVのペアが出てきました。
今回は直前が「the person」という名詞であり、「you met」と目的語のない不完全な文であるため、関係代名詞の目的格の省略です。
それでは、2つの省略を見抜いたので、文の構造をおさらいしておきましょう。
例文の和訳は、「あなたが昨日街で会ったその人を疑いもせずに信頼するのは危険だと私は思う」です。
まとめ
それでは、最後に今回やってきた内容の要点をまとめておきましょう!
・2つのthatの省略は直前の品詞や文が完全か不完全かで見分ける
最初のうちは、そもそも「that」が省略されているということに気付くことも大変かもしれませんが、色々な英文に触れていくうちに慣れていくはずです。
そして、省略に気付けるようになったら次は、省略されているのが接続詞の「that」か関係代名詞の「that」かを今回学んだ見分け方を駆使して判別していきましょう。