試験勉強・受験勉強において学習内容の「記憶」は切っても切れないものです。
教科書や参考書の内容を「記憶」するのが「勉強」とも言えますからね。
しかし、興味のある分野ならともかく、興味のない分野は全然覚えられないと困っている人も多いと思います。
そこで、この記事では、試験勉強や受験勉強でも使える様々な記憶のテクニックを紹介していきたいと思います!
この記事は次のような人にオススメです!
・勉強の効率を上げたい人
・新しいことが中々覚えられない人
・覚えたことを中々思い出せない人
記憶のメカニズム
まず、人間の記憶について少し解説をしていきたいと思います。
もし、そんな話よりとっとと記憶に役立つ情報を教えてくれよ!という人は、「2.プライミング効果」までジャンプしてくださいね。
さて、人間の記憶は、細かく分けて次の4つのプロセスから成り立っていると言われています。
- 感覚記憶
- 短期記憶
- 中期記憶
- 長期記憶
①の感覚記憶は、日常生活の中で見聞きしたことを0.5秒から5秒くらいのほんの一瞬だけ留めておく記憶です。
この膨大な記憶の中から重要だったり興味のあったりする情報だけが次の短期記憶へと送られます。
②の短期記憶は、記憶できる時間は大体15秒から30秒くらいの間だけで、覚えていられる数も7±2個ほどと言われています。
しかし、ここで覚えた短期記憶を反復して思い出すこと(これを「リハーサル」ともいう)で、記憶できる時間を伸ばしていくことができます。
この短期記憶から更に反復された情報が、1週間から1ヶ月ほど記憶できると言われる③の中期記憶へと送られます。
そこからさらに反復された情報が、より長期に渡り記憶を保持できるといわれる④の長期記憶へと送られます。
ちなみに、長期記憶はさらに細かくエピソード記憶や意味記憶などに分けることができ、脳トレなどで有名なワーキングメモリーは短期記憶の一種類です。
この脳の記憶メカニズムから、勉強した知識を長期記憶へと変化させるためには、何度も反復して思い出す=復習をすることが大事だということが分かりますね。
プライミング効果
次に、プライミング効果と言われるものについてお話します。
プライミング効果とは、簡単に言うと、事前に学習・記憶したことが後の学習や記憶に影響を及ぼすことを言います。
例えば、「ピザ」って10回言わせた後に、足の膝を指して「じゃあこれは何でしょう?」と聞くと、本当は膝なのにピザと言ってしまう。
そのような遊びをやったことがある人も多いのではないかと思います。
これもプライミング効果を使った遊びの一種です。
では、これが勉強に何の関係があるのかというと、このプライミング効果を使うことで、記憶をより強固なものとして定着させることができるからです!
記憶は脳の中で関連度が高いもの同士で結びつき、記憶のネットワークを構成します。
興味がある事柄などはこの記憶のネットワークが既に強固に構築されています。
そのため、同じような情報を覚えようとした時に、この既に構築されたネットワークとその情報が結び付きやすいので簡単に記憶ができます。
つまり、新しいことを何か覚える時には、なるべく既に覚えていることや一緒に覚える他の情報と関連付けることで、強固な記憶として定着させやすくなります!
また、覚えているはずなのに思い出せないという状況の事を「メモリーブロック」と言います。
このメモリーブロックを防ぐためにも関連付けは役に立ちます。
なぜなら、記憶のネットワークの関連情報が多ければ多いほど、その関連情報から辿って思い出しやすくなるからです!
例えば、徳川家康という名前が思い出せなくても、関連する織田信長や関ヶ原の戦い、征夷大将軍などの情報をヒントにして思い出すということもできるようになります。
プライミング効果を上手に使えば、勉強の効率もさらに上げることができるようになりますよ!
語呂合わせ法と頭文字法
それでは、ここから様々な記憶のテクニックを紹介していきます。
まずは語呂合わせ法と頭文字法です。
語呂合わせ法は、794(鳴くよ)うぐいす平安京のように歴史の年号などを言いやすい言葉に変換して覚える方法です。
頭文字法は、覚えたい事柄の頭の文字を組み合わせて覚える方法です。
以前日本史の講座で紹介した百済の観勒が暦法を伝えたということを百済はカ(観勒)レ(暦法)ーと覚えたりするのが頭文字法の典型例です。
この2つは社会や理科のような科目で特に使いやすい記憶法で、皆さんにもよく馴染みのある記憶法だと思います。
ただし、語呂合わせや頭文字を組み合わせて意味のある言葉が作れないと使えないため、どんな場面でも使える記憶法ではありません。
使える場面では効果てきめんなので、他の記憶法などと使い分けていきましょう。
ストーリー法
視覚的な情報は、文字よりも記憶がしやすいと言われています。
それを活かした記憶法が次から紹介する2つの記憶法です。
1つ目は、覚えたい事柄を使ったストーリーを考えて記憶する方法で、ストーリー法(物語法)と言われる記憶法です。
例えば、団結権・団体交渉権・団体行動権の労働三権を覚えたいという時に、「労働者達は団結して交渉したけれども、雇用者が言うことを聞いてくれなかったので行動を起こした」というようなストーリーを作って覚えようとするのがストーリー法の一例です。
ある程度こじつけでも印象に残ったり、筋の通るストーリーが作れれば、先に紹介した語呂合わせ法や頭文字法よりも使える場面が多い記憶法です。
場所法
テレビなどによく出ている記憶の達人と言われる人の多くが使っている有名な記憶法が、場所法です。
場所法は、自分のよく知っている場所と覚えたい事柄のイメージを組み合わせて、視覚的な情報として記憶する記憶法です。
ストーリー法でも言ったように、視覚的な情報は文字よりも記憶に残りやすいと言われています。
そして、自分の中で既に強固な記憶のネットワークが構築されている場所と関連付けることで、プライミング効果なども活用しているのが、この場所法です。
イメージする場所は、自分のよく知っている場所なら何でも良いのですが、定番は家の中や普段の通学路などです。
例えば、歴代の徳川将軍15人を覚えたい時は、家の玄関前に家康がいるのを思い浮かべ、玄関を開けたら秀忠と家光が出迎えてくれる……、そして最後には自室のドアを開けたら慶喜がいる。
このような感じで家に帰って来てから自室に入るまでに、歴代の徳川将軍15人をイメージして配置することで記憶するのが場所法の具体的なやり方です。
覚えたい事柄を視覚的にイメージすることができれば、あとは自分のよく知っている場所と関連付けるだけなので、訓練すれば一番応用が利きやすい記憶法かもしれません。
まとめ
最後に、ここまで紹介してきた内容の要点をまとめて確認しましょう!
・記憶の定着には復習が大事
・記憶は関連付けることでより強固になる
・視覚的なイメージは文字よりも記憶に残りやすい
今回紹介した記憶法は、この3つの要点を活用したものです。
この3つの要点を意識して勉強すれば、勉強の効率を今までより大幅に上げることも可能です!
あとは自分なりに覚えやすい工夫をしていく中で、自分に合った記憶のやり方を見つけていければ良いと思います。
また、記憶法だけでなく、他の記事で紹介した勉強法なども組み合わせて活かしていくと、さらに勉強がはかどるはずです!